土地改良区の賦課金について

【令和3年3月24日ラジオ放送】

担当者:福島県土地改良事業団体連合会 総務企画部企画指導課 課長 冨田 秀樹
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の「土地連だより」は、「土地改良区の賦課金」についてお話をいただきたいと思います。
お話は、福島県土地改良事業団体連合会 総務企画部 企画指導課 冨田秀樹 様にお伺いします。
はじめに、「賦課金」という言葉は聞きたことはありますが、どのようなものなのか、お聞きしたいと思います。

担当者

はい。「賦課金」というのは土地改良事業の受益地(例えば農地や農業用水路などの農業水利施設の維持管理も含みます)それに賦課するお金のことで、土地改良事業によって受益者が恩恵を受けることから、「賦課金」を負担する必要がでてきます。
最近では,受益農地の相続や売買によって新しく組合員となった方から「なぜ土地改良区に賦課金を払わなければならないの?」といった問合せが寄せられることがございます。
土地改良区が賦課できる根拠としては、土地改良法の36条第1項に書かれておりまして、土地改良区は「定款の定めるところにより」賦課徴収することができると規定されております。この場合には、直接賦課徴収について定めた規定だけではなく、根拠となる「事業」について定款第4条に記載されているかも大切です。その事業に要する経費に充てるため「地区内にある土地につき」、また、相手は組合員名簿に記載されている「組合員に対して」賦課徴収することができるとされております。

司会者

そうですか。それでは、「賦課金」の具体的な「内容」について教えて下さい。

担当者

はい。賦課金には「経常賦課金」と「特別賦課金」というものがございます。
まずは「経常賦課金」ですが、事務費や維持管理費などの土地改良区の運営費用に充てられます。また、面積に応じて徴収します。
また、「特別賦課金」は、圃場整備事業や農道整備等で工事を行った場合の工事負担金に充てられます。
基幹的な農業水利施設(農業インフラ)の相当数が、戦後から高度成長期にかけて整備されてきたことから、施設の老朽化が進行してきており、近年標準耐用年数を経過している施設が全体の四分の一を占めております。
この老朽化に伴って、突発事故の件数についても増加しておりまして、施設の経年的な老化及び局部的な老化が事故の半数を占めております。

司会者

そうですか。私たちにとって大切な社会インフラの管理が行き届かなければ、災害時に被害が拡大する恐れがありますね。

担当者

そうです、健全な農業や農村の暮らしには、田んぼや水路の土砂上げ、草刈り、施設の補修等の日常の管理がとても大切です。
また、家庭などから出る雑排水についても農業用水路に流れるものもあります。私たちは皆、農業や水路に関わって生活しています。
そのような農業水利施設の維持管理をするためにも、「賦課金」が使われております。

司会者

そうですか。「賦課金」というのは、私たちに大切な農地・水・水利施設を維持管理するために必要不可欠なものなのですね。

担当者

はい、その通りです。「特別賦課金」については、農業の基盤である水田や農業用水利施設の整備を行う事業の償還を行うために負担していく必要がありますし、「経常賦課金」については、その地域における農地がある限りご負担して頂く必要がございます。

司会者

それでは、大切な「賦課金」を大事に使っていくためには、どのようなことを工夫したり気をつけたりしていったら良いのか教えて頂けますか。

担当者

はい、実際「賦課金」の増額がなかなか難しい中で、農業・農村については、様々な農業以外の多面的機能を有し公共的な財産でもある土地改良施設の重要性を非農家を含め、皆が正しく評価し、これからも適正な管理を行っていくため、恒久的な行政支援を求めるなど「体制の強化」を図っていくことが大切です。そのことによって「農家負担の軽減」を図っていく必要がございます。
そのためには、土地改良施設が、農業生産を支える重要な施設であると同時に地域の生活用水、消流雪用水、防火用水等といった多面的機能を有しており、農家のみならず地域全体に恩恵をもたらしていることから、非農家を含めた地域全体で施設管理を進めていく体制を構築していくことが重要です。さらには、市町村や農業関係団体との連携を強化して、「情報の共有化」等による「施設管理体制の充実」も同時に進めていく必要があります。

司会者そうですか。ほかにも有効な具体的な方法等があれば、何点か教えて頂けますか?

担当者はい、ここでは、「施設維持管理費の軽減対策」についてご紹介致します。
具体的に、色々な「支援制度」、「補助事業」がありますので4点ほどご紹介しておきたいと思います。
まず1つ目としては、日常管理を適切に行うことが非常に大切ですので、それに伴う主な支援制度として、「多面的機能支払交付金制度」がございます。この制度は、地域共同で行う活動や地域資源(農地、水路、農道、ため池等)の向上を図る活動を支援します。
2点目としては、「点検・診断調査に基づいた補修」です。これについては、「土地改良区体制強化事業」を活用した専門指導員による「施設診断・管理指導業務」の活用がございます。定期診断の他、管理者からの要望があった場合には、「要請診断」についても行っておりますので、是非、有効活用してはいかがでしょうか。
3点目として、補修・補強などの「予防保全対策」です。これは「土地改良施設維持管理適正化事業」や「ストックマネジメント事業」の活用があります。
最後に4点目として、「管理省力化」などの「機能向上対策」がありますが、これについては「基盤整備促進事業」や「県営かんがい排水事業」、「農村地域防災減災事業」の「用排水施設整備事業」などがあります。
このような「事業や制度」をうまく利用し「賦課金」の負担増を抑制していくことが大切です。

司会者今朝は、ありがとうございました。
今朝の「土地連だより」は、「土地改良区の賦課金」について、お話しを伺いました。