伊達西根堰土地改良区の水利施設を活用したプロジェクトについて

【令和4年6月28日】

担当者:伊達西根堰土地改良区 事務局長 石川博利
司会者:ラジオ福島アナウンサー

司会者

おはようございます。「農家の皆さん」の時間です。
今朝は、土地連だより をお送りしましょう。
お話は、水土里ネット西根堰(にしねせき) 事務局長の石川博利さんです。
石川さん、おはようございます。

担当者おはようございます。

司会者今朝のお話は、「水利施設を活用したプロジェクト」について、ご紹介いたします。
初めに、水土里ネット西根堰について、ご説明いただけますか。

担当者はい、当土地改良区は、福島県の北端、福島市と伊達市の一部、そして桑折町、国見町を受益地として、西根堰と呼ばれる、2本の用水路と、2箇所の頭首工、藤倉ダム等の施設、これを水利施設といいますが、その施設の維持管理を行っています。西根堰は平成30年に完成から400年を迎えました。

司会者400年とは、長い歴史がありますね。

担当者はい、400年前は江戸時代のはじめで、当地域は米沢藩の領地でした。その時の藩主が、上杉景勝、家老は、直江兼続という時代です。明治以降、水利組合として組織化され、昭和26年に現在の土地改良区となりました。土地改良区としての歴史も70年となります。

司会者土地改良区としても長い歴史がありますね。

担当者はい。

司会者では、その土地改良区が取り組んでいる水利施設を活用したプロジェクトとは、どの様なものなのか、お聞かせ下さい。

担当者はい、土地改良区は先にお話ししたような施設、水利施設を管理し、農家の皆さんの田んぼや畑に農業用の用水を届けています。田んぼは大量の用水を必要とし、不足するとお米の収穫が出来なくなってしまいます。また、当地域は、果樹農家も多く、特に桃の栽培にも用水が欠かせません。

司会者おいしいお米や桃の栽培を支える重要な役割ですね。

担当者はい。この西根堰は、2本で38kmある用水路です。また、その他の施設も農業用のために使用することを前提として造られています。しかし、最近は、全国的にも、小水力発電や太陽光発電の用地としての活用もされていまが、やはり利用は限定的です。そこで、施設の利用について広く一般から公募すれば、もっと違った活用方法があるのではないかと考えました。

司会者視点を変えた利用方法を募集しようという取り組みですね。

担当者はい、更にもう一つの効果を期待しています。それは、水利施設は、造られてから数十年が経過しているため、補修費や施設が多いため管理費が大変負担になっています。その経費の一部として、使用料をいただければ、施設の維持管理費に利用出来で、土地改良区も大変助かります。

司会者そのとおりですね。

担当者少し、かみ砕いた言い方となりましたが、これは、施設の他目的使用として、土地改良法にきちんと定められています。

司会者今のプロジェクトの状況はどの様になっていますか。

担当者このプロジェクトの発案のきっかけは、設計コンサル会社の実証実験として始まり、3件のプロジェクトが決定し、内2件が実際に実証実験を行いました。一つが、「計測ロボットによる水路施設の効率的な点検手法」のための試験の場所としての利用です。もう一つが、「農業用水路上空のドローン航路としての活用」の取り組みです。

司会者一つは、専門的なプロジェクトですが、もう一つは、ドローンの航路ですか。

担当者そうですね。計測ロボットは、トンネルや水路のコンクリート等を調べる内容で、人手を省くため、フロート型ロボットやドローンを利用する方法ですが、ドローンの航路としての利用は未知の内容でした。

司会者ドローンの航路とは、どんな利用方法なんですか。

担当者今後、ドローンの活用が益々進んで行くことは、ニュース等で報道されていますが、物流の利用が増加する可能性が髙いため、あらかじめドローンの航路を法的に設定し、利用したい会社等が使用料を支払って利用する。航路の土地や施設を所有している方にも使用料が支払われ仕組みを作るという内容です。

司会者ドローンが身近に利用出来る用になって行くんでしょうか。

担当者そうですね。その実証実験として、水路上空を利用して桑折町産の野菜を使ったピザのデリバリーをする実験を4月に実施しました。

司会者空飛ぶピザですか。

担当者そのとおりです。実際にピザの注文から、ドローンによる配達、自宅で受け取って、料金の支払い、そして実食までを実験しました。

司会者温かいピザを食べることが出来たんですか。

担当者はい、温かくておいしい、との感想でした。今回はピザの宅配でしたが、今後の可能性として、高齢者の免許返納による交通弱者や一人暮らしの方々の自宅への宅配や、災害発生時の緊急点検、物資の配送の利用も考えられます。人が乗るドローンの開発もされていますから、安全な水路上空の利用が実現するかもしれません。400年前につくられた、水の道の上が最新技術のドローンの空の道になるとは、予想も出来ない事でした。

司会者様々な可能性と、社会貢献も可能となる有意義なプロジェクトですね。
今朝のお話は、水土里ネット西根堰 事務局長の石川博利さんでした。ありがとうございました。

担当者ありがとうございました。