多面的機能支払交付金事業「協働活動の取り組み」について

【平成29年12月30日ラジオ放送】

担当者:平田村産業課 農林管理係 主査兼農林管理係長 坪井 和幸
司会者:RFCアナウンサー

司会者

おはようございます。
「農家の皆さん」の時間です。今朝の土地連だよりは、平田村産業課 農林管理係 主査兼農林管理係長 坪井和幸さんにお伺いします。
坪井さん、おはようございます。

担当者

おはようございます。よろしくお願いします。

司会者

今朝のお話は、平田村の多面的機能支払交付金事業における「協働活動の取り組み」について、ご紹介いたします。
初めに、平田村について、ご紹介いただけますか。

担当者

はい。
平田村は県の南東部、阿武隈山系にあり、標高450mから500mのなだらかな山並みを縫うように農地が広がる、美しい農村風景の残る緑豊かな地域です。
また、芝桜の名所として知られる「ジュピアランドひらた」の、毎年春に開催される芝桜まつりには、15万株もの芝桜が、あたり一面に敷き詰められることは、良く知られています。

司会者

一面に芝桜が咲きほこる状況が目に浮かびます。平田村は、緑豊かなすばらいしい所ですね。

担当者

はい、そして村の基幹産業は農業であり、観光、企業誘致にも力を入れています。

司会者

そのような平田村で、取り組まれている多面的機能支払制度における「協働活動」について教えて下さい。

担当者

平田村は、日本型直接支払制度に取り組んでいます。
日本型直接支払制度とは、農業の持つ多面的機能、たとえば国土保全,水源かん養,自然環境の保全,景観の保全などの維持・発揮のため,地域活動や営農活動に対して行われる支援制度です。
日本型直接支払制度には、多面的機能支払制度をはじめ、環境保全型農業直接支援対策、中山間地域等直接支払対策があり、平田村では現在、65の組織がこれらの制度を利用しており、多面的機能支払制度では19組織が活動を行っています。
しかし、課題もあります。たとえば、活動の中心は農家で非農家が少なく、その中心である農家の高齢化、また耕作をしない遊休農地の増加による交付金対象面積の減少などが課題としてあげられます。
そのような状況下、平田村は、村民満足度向上、協働によるむらづくり、持続可能な村の経営 の3つを基本的視点に 第5次平田村総合計画を制定しています。
これから説明します、原材料支給事業の「協働活動」は 基本計画の視点である「村民との協働によるむらづくり」における政策のひとつです。

司会者

具体的にどのようなことをするのでしょうか。

担当者活動組織がおこなう「協働活動」のひとつに、道路舗装工事において村からの原材料支給事業を活用した活動があります。
村では快適な都市空間の形成を目指し、「地域特性に合わせた道づくり」として、現在ある砂利道の舗装事業を進めていますが、予算には限りがあることから村民の要望のすべてに応えることは困難です。
しかしながら、村では村民の要望に少しでも応えたいということで、多面的機能支払制度をはじめとする各組織等に原材料支給事業の生コンの支給を行ない「協働によるむらづくり」を進めています。
組織はこの事業を活用し、砂利道を舗装して管理しやすくするため、活動計画をたてて村の承認を受け、自分達の地域は自分たちの手で、協力しながら直営による道路舗装の工事に取り組んでいます。
この原材料支給事業は人家が少なく、村事業としては、どうしても優先順位が低い路線を対象として、生コン代全額を村が負担しています。そのかわり、生コン以外の費用は組織で負担します。

司会者道路舗装工事に必要な材料を村が至急してくれるのは、組織としては大変助かりますね。
でも、工事を行う人や工事機械の確保に心配はないのですか。

担当者

地元には土木技術を持つ方や土木工事の経験者、また土木機械の所有者が多数おり、人材等の確保に問題はありません。
そして、安全対策にも十分注意を払い、工事にあたっては、事故防止のための注意喚起、機械の安全点検、ヘルメット着用、保険加入などを徹底した上で、地元住民らよる協働活動として、直営による道路舗装工事を行っています。
これまで村が行ってきた原材料支給事業の実積は、多面的機能支払制度への支給以外も含め、現在までの12年間で256箇所、整備延長約28kmとなっています。
そして、この事業による成果は、農家を中心とした地元住民が工事に参加し、共同で作業をすることで地域コミュニティが活性化され、また自らが施工した道路に愛着がわき、語りつぐことで自分達の施設、地域財産であるという認識が根付き、維持管理に対する住民の協力へ繋がっています。

司会者その他に、多面的機能支払制度における「協働活動」では、どのような活動をしているのですか。

担当者生コン舗装以外に、組織による「協働活動」として、水路の布設、水路に付着した藻の除去など水利施設の管理、花の植栽や手入れなどの美化活動、また地域の子供達との生き物調査などの環境保全活動を地元住民が一体となって、様々な活動を行い、活力あるむらづくりに繋がっています。

司会者地元住民が一体となって、様々な「協働活動」を行っているのですね。
それでは「協働活動」の取り組みにおける今後の課題について、お聞かせください。

担当者今後の課題として、まずは組織構成員の高齢化が挙げられますが、今後は幅広い年齢層の構成員を確保し、組織の維持と活動の充実を図ることが必要です。
また組織のみならず地域全体として、就農者減少等による耕作困難農地や遊休農地の増加は深刻です。
これらについては、担い手の確保や作業受託組織の設立、中間管理事業の活用などが求められます。
それから、農地および施設の管理や農村自然環境,景観の保全などの維持・発揮については、更なる多面的機能支払制度の活用の推進を行っていきたいと考えております。

司会者今朝は、ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、平田村の多面的機能支払交付金事業における「協働活動の取り組み」についてお話しを伺いました。