農業農村基盤整備事業中朝日地区における農業振興について

【平成31年3月28日ラジオ放送】

担当者:只見町土地改良区 山内 翔
司会者:RFCアナウンサー

司会者

おはようございます。
今朝の土地連だよりは、只見町土地改良区 山内翔さんに お伺いします。
山内さん、おはようございます。

担当者

おはようございます。
本日は、よろしくお願いします。

司会者

よろしくお願いいたします。
今朝のお話は、「農業農村基盤整備事業 中朝日地区における農業振興について」 、お伺いいたします。
はじめに、地区の紹介をお願いします。

担当者

はい。
只見町は、福島県の西南、南会津郡の西北部に位置し、隣は新潟県に接しています。その中でも中朝日地区は、只見町の中央部に位置する水田地帯です。
只見町は、周囲を山々に囲まれ、町の約94%が山林原野で、冬期間は雪に覆われるため主産業である農業は4月~11月までに限られますが、6月~9月の夏・秋の時期は昼と夜の寒暖差が大きく、農業に適している地域です。

司会者自然にめぐまれた町なんですね。
それでは、中朝日地区が基盤整備事業に至った経緯を教えて下さい。

担当者

はい。
中朝日地区内の上福井、黒谷集落の事業実施前の農地は、昭和30年代に整備された平均5a区画の ほ場であり、大型機械での作業を阻み、用排水路も未整備であったため、維持管理にも苦労していました。また、山からの湧水による湿田が多く、転作作物の栽培にも支障がでていました。
そして近年は、農業者の減少、高齢化が進む中で、将来耕作を引き受ける担い手がいなくなり、集落の農地が荒れてしまうという懸念が地区内に広まり、地域営農の活性化を図り、後継者を育成するために ほ場整備事業推進委員会が結成されました。司会者農業者が減少していく中、ほ場整備事業をどのようにして進めていったのでしょうか。

担当者

はい。
地区内の担い手4名に農地の60%以上を面的集積することを目標に、工事・集積・換地が一体となった推進を図ることで、平成22年度に県営農業農村整備事業 中朝日地区として採択され、その後 農地中間管理事業を活用して農地の貸し借りなど利用集積を促進してきました。
途中から1名の個人担い手に代わり、法人組織が担い手として参加しています。

司会者

地区内の農地60%以上を4つの担い手に集めるのですか。
現在までに、どのくらいの集積の成果があったのでしょうか。

担当者

ほ場整備は、平成28年度で事業完了しましたが、平成29年度時点で中朝日地区の耕地面積 25.1haの内、担い手が所有する面積も含め、利用する農地面積が21.8haで、率で言いますと、88.4% で、平成31年度の目標値86.8 % を既に上回っています。

司会者

すごいですね。
約9割弱の農地面積が、4つ担い手に集まっているのですか。
では、担い手を中心とした地区の取り組みを、ご紹介いただけますか。

担当者はい。
中朝日地区が、ほ場整備事を行ったことにより、さまざまな取り組みから、地域に大きく4つの効果をもたらしています。
1つ目は、大区画化されたことで、農地の生産コストの削減と農地の管理時間の縮減です。
2つ目は、ほ場整備による汎用化により、トマトや花卉など水稲以外の高収益作物の導入が進められ営農体型の転換が図れたことです。
3つ目は、農地中間管理機構の活用により、担い手への農地集積・集約化が図られたことです。
4つ目は、本地区の取り組みが周辺地域に波及効果をもたらし、現在2つの新規地区が事業計画を立ち上げています。

司会者ほ場整備事業を実施したことによって、地域の農業は大きく変わったのですね。
その他に地域に変化などありましたか。

担当者はい。
ここで、地区内の法人である担い手 株式会社 ライズサプールについて、お話をします。
ライズサプールは、トマト栽培の規模拡大を計画し、高齢化による離農者の受け皿として、また、地域の農地の保全と次世代への継承を理念に法人化し、平成27年3月に設立されました。
ライズサプールは、ほ場整備により、面的なまとまりのあるほ場でトマト栽培に取り組むことが可能となり、安定的な農業経営が確保できたことで、20代~30代の若者を採用したり、高齢者や女性等の余剰労働力を軽作業に活用して、地域住民の新たな雇用と所得を創出しています。
また、トマトは「南郷トマト」ブランドで出荷するだけでなく、高付加価値ブランドのトマトジュースを販売したり、町の伝統食品である「凍みもち」の加工・販売を行うなど6次産業化により、収益の向上と冬期間の雇用促進にもつなげています。
雇用促進については、個人の担い手も同様に、集落内の余剰労働力を活用され、雇用促進に貢献しており、地域の経済循環となっています。

司会者新たな雇用によって、今後も地域を支えていけるなんて、とても、すばらしいこと
ですね。
ところで、今月 東京で行われた、「平成30年度農業農村整備優良地区コンクール」で、中朝日地区が「農業振興部門 全国水土里ネット会長賞」を受賞されたとのことですが、感想と今後の取り組みについて、お話をお聞かせ下さい。

担当者はい。
今回の受賞は、先程話しをしました4つの効果が評価されたのだと思います。
今後、中朝日地区では、活力ある人材と協力しながら新規就農者の参入を進めることで、美しく活力ある農村を実現するとともに、若い人材の参画をさらに促進することで、地域の後継者を育てていきたい、と考えています。

司会者わかりました。
今朝は、ありがとうございました。
今朝の「土地連だより」は、只見町 「農業農村基盤整備事業 中朝日地区におけ
る農業振興について」、お話を伺いました。
土地連だより、お話は只見町土地改良区 山内翔さんでした。