棚田を活用した地域づくり、始めませんか
【令和2年10月28日ラジオ放送】
担当者:福島県農林水産部農村振興課 主任主査 松葉 隆幸
司会者:RFCアナウンサー
司会者
おはようございます。
今朝は、「棚田を活用した地域づくり、始めませんか」と題して、福島県農林水産部 農村振興課 主任主査の松葉 隆幸さんにお話を伺います。よろしくお願いします。
担当者
おはようございます。よろしくお願いします。
司会者
本日のテーマは、棚田を活用した地域づくりですが、棚田というと、県内のどこにあるのかすぐには思い浮かばないですね。
担当者
そうなんです。「棚田は自分のところにはない」といった声も聞きますし、確かに平成11年に農林水産省が認定した「日本の棚田百選」に選ばれた棚田は福島県にはありません。
棚田というと、「段々になった不定形の水田が広がっているところ」という印象を皆さんが持たれているためかもしれませんが、素晴らしい景観の棚田は、県内各所にあります。
司会者
そう言えば、少し前のことになるのですが、棚田に関する県の基本方針が示されたことや県内で初めて郡山市で国から指定棚田地域に指定されたという情報を県のホームページで見たのですが、棚田に関して何か新しい施策が出されたのでしょうか。
担当者
はい。全国的な問題なのですが、中山間地域、特に棚田地域では、高齢化の進行や担い手不足が深刻で、棚田が荒廃の危機に直面しています。
棚田は、農産物の供給だけでなく、国土保全、良好な景観の形成、伝統文化の継承等の様々な機能を有していて、国民共有の財産であるとことから、国の関係府省庁が力を合わせて行うよう、昨年の8月に「棚田地域振興法」が施行されたところなんです。
簡単に言うと、市町村や棚田地域に住む方など、多様な方々が参加して行う棚田を核とした地域づくりの取組について、国を挙げて支援していく枠組みができあがったということなんです。
司会者
なるほど、国を挙げて棚田のある地域を元気にする取組が始まったと言うことですね。
ところで、先ほどお話しに出てきた棚田地域とはどのような地域なのですか。
担当者
はい。
先ほどもお話ししましたが、棚田というと、段々になった不定形の水田が広がる景色がいいところというイメージをほとんどの方が持たれていると思います。
司会者
そうですね。景色のいいところを連想します。
担当者
今回の法律では、抽象的な分類でなく、明確な基準によって棚田が定義されたとともに、一体的な日常の生活圏を構成する棚田を含む一定の地域を棚田地域とすると決められました。
棚田の定義については、勾配が20分の1以上、つまり、20メートル進むと1メートル以上高くなる土地にある階段上になった水田を棚田といい、棚田地域については、棚田の面積が合計で1ha以上ある区域を指します。
したがって、基盤整備を行った水田でも、条件が合致すれば棚田ということです。
司会者
なるほど、基準が明確に決められたと言うことですね。
そうすると不定形でなく、区画整理された水田であっても、階段上であれば棚田であり、さらに、勾配が20分の1以上の土地にある棚田が合わせて1ha以上あれば、棚田地域として扱うと言うことですね。
担当者はい、そのとおりです。
県内には、勾配が20分の1以上の棚田は五千ヘクタール以上あって、ほとんどの市町村にあり、意外に身近にあるものなんです。
また、国から棚田地域の指定を受けると先ほどお話しした国の支援で優遇措置が受けられることになります。
司会者条件にあっているか調べて見る価値はありそうですね。
では、棚田がある地域で、本日のタイトルにある「棚田を活かした地域づくり」を行いたいという場合、国の支援というのは、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。
担当者はい。荒廃している棚田を直したい。地域の特産品を作りたい。棚田でとれた農産物を都会で販売したい。移住促進や農業体験をしてもらいたい。都市住民と交流がしたいなどといった場合に、様々な国の支援制度があります。
また、今年度の募集は終わっていますが、県でも棚田地域で行う都市住民との交流や農産物の加工や販売についての支援制度があります。
司会者まさに、何でもできそうな支援体制になっているのですね。
担当者これらの制度を有効に活用していただければ、皆さんのアイデア次第でさまざまな活動が可能となります。
ただ、最初から壮大なことを考えなくともいいと思うんです。
司会者といいますと? 例えば、どのように考えれば良いのでしょうか?
担当者(アナウンサー)さん、福島市にある花見山はご存じですよね。
司会者はい、春は特に多くの方が訪れていますが、ほぼ一年中人々が訪れる福島市の観光スポットになっています。
担当者花見山に関するホームページを拝見させていただきましたが、その花見山も最初からあのように大勢の方を呼ぼうと言うことで始まったわけではないんです。
大正時代からこつこつと開墾して、花を植えていき、昭和30年ごろに訪れる人々から山を見せて欲しいとの要望があって、公園として解放されたものなんです。
千里の道も一歩からといいますし、出来る人と出来ることから少しずつ成功体験を積み重ねていくことが大切だと思います。
司会者まずは、集まれる仲間で、小さいことでもいいから始めて見ましょうと言うことですね。
担当者はい、せっかくの棚田という資源を活かさないという手はありません。
地域づくりをしていきたいけれど、どうしていいのかわからない場合など、もし、棚田という資源が眠ったまま活用されていないならば、ぜひ活用いただければと考えています。
司会者そういうことであれば、ぜひ活用していただきたいと思いますが、棚田を活用した地域づくりを行いたいといった場合、どこか相談できるところはあるのでしょうか。
担当者棚田に関しては、国では、様々な相談に応じるため、棚田地域振興コンシェルジュを設置していますし、県の出先機関である農林事務所企画部、各市町村でも棚田に関する相談を受け付けてくれるようになっています。
さらに、棚田地域振興法における指定棚田地域などの手続きや相談場所がわからないなどでお困りな場合は、県庁農村振興課までお問い合わせいただきたいと存じます。
司会者棚田を活用して、地域が元気になる取組が進めばいいですね。
本日は、「棚田を活用した地域づくり、始めませんか」について、伺いました。
松葉さんありがとうございました。
担当者ありがとうございました。