「福島県農業農村整備事業における流域治水プロジェクト」について

【令和4年4月29日ラジオ放送】

 担当者:福島県農林水産部 農村計画課 副主査 帷子 直輝
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「福島県農業農村整備事業における流域治水プロジェクト」について、
福島県農林水産部 農村計画課 帷子 直輝(かたびら なおき)さんにお話しを伺います。
よろしくお願いします。

担当者

おはようございます。よろしくお願いします。

司会者

まず、はじめに、流域治水プロジェクトについて教えてください。

担当者

はい。令和元年東日本台風等により一級水系阿武隈川本川や支川、二級水系の河川において、堤防決壊や越水等が多発し、流域全体で甚大な浸水被害が発生しました。
このため、国、県、市町村、企業、地域住民など流域に関わるあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる治水対策の全体像を「流域治水プロジェクト」として示し、ハード対策とソフト対策の両面で事前防災対策を推進していくものです。

司会者

「流域治水プロジェクト」は県内ですと、どの河川で策定されているのでしょうか。

担当者

はい。令和3年度までに、国が管理する一級河川においては阿武隈川、阿賀野川、那珂川、久慈川の4河川、県が管理する二級水系では小泉川、宇多川、新田川、夏井川、鮫川、藤原川の6河川にて流域治水協議会を設立し、「流域治水プロジェクト」の推進について協議を実施しています。2級河川は県内36水系ありますが、令和元年東日本台風で被害の大きかった6河川について先行しています。

司会者

流域治水プロジェクトの推進について協議をしているとのことですが、農業農村整備における治水対策としては、どのようなものがあるのでしょうか。

担当者

はい。農業用ダムの洪水調整機能の強化、田んぼダムの取組、農業水利施設の整備、防災重点農業用ため池の整備等を挙げています。

司会者

農業用ダムの洪水調整機能の強化とはどういったものでしょうか。季節によってはダムの水位が下がっている時がありますが、なにか関係があるのでしょうか。

担当者

はい。農業用ダムを農業用水として利用するだけでなく、洪水を予測した場合に事前に放流を行ったり、季節毎にあらかじめダムの水位を下げておくなど、一時的に雨水を貯める量をダムで確保する取組です。雨水をなるべく農業用ダムに貯めて、下流域の水害を軽減することを目的としています。

司会者

田んぼダムというのを良く聞きますが、これはどういったものでしょうか。

担当者

はい。田んぼダムとは、田んぼの排水口に、丸く穴の開いた板やV型にカットした板などを設置して、田んぼからの排水量を少なくし、雨水を田んぼに一時的に貯める仕組みのことです。
河川や排水路に流れ出す雨水をゆっくり流すことで、下流に集まる水量を抑えることが目的です。
田んぼダムは郡山市、須賀川市で実証実験が行われており、また、須賀川市では県が実施しているほ場整備と一体的に田んぼダムに取り組んでおり、令和4年度以降も取組を拡大していく予定です。

司会者

なるほど。流域全体で田んぼダムの取組が拡がれば、さらに被害の軽減に繋がりそうですね。続いて、農業水利施設の整備とはどういったものでしょうか。

担当者

はい。豪雨による災害を防止するため、頭首工や排水機場を始めとする農業水利施設の整備と防災機能を維持するための補修・更新を行うもので、例えば防災重点農業用ため池の整備があります。

司会者

「防災重点農業用ため池」とはどのようなものですか。

担当者

「防災重点農業用ため池」とは、万が一ため池が決壊した場合、浸水区域に家屋や公共施設等が存在し、人的被害を与える恐れのある農業用のため池のことで、令和2年10月1日に施行された「防災重点ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」にて位置づけられたものです。
対策としては、この「防災重点農業用ため池」を令和3年から令和12年の10年間で、集中かつ計画的に防災工事等を推進していくものです。

司会者

10年間という期間内に防災工事等を進めるとのことですが、具体的にどのように進めていくのでしょうか。

担当者

まず始めに、指定した全ての防災重点農業用ため池について、老朽化の程度や地震や大雨に対してどの程度耐えられるかについて調査を行います。その後、緊急度に応じて、防災工事を行います。

司会者

この先10年間で集中的に調査と防災工事に着手していくというわけですね。

担当者

はい。また、県内の各市町村においては、ため池決壊時の想定浸水区域や避難所を示す、ため池ハザードマップの作成を進めています。お住まいの近くに農業用ため池がある方は、一度市町村のホームページなどでご確認くださいますようお願いいたします。

司会者

流域治水対策の取組によって、浸水等の被害が軽減されることを期待したいですね。

担当者

本日お話ししました流域治水に関する取組はハード対策とソフト対策を組み合わせて進めることが重要です。引き続き、防災・減災の取り組みにご理解とご協力をお願いいたします。

司会者

ありがとうございました。
今朝は、「福島県農業農村整備事業における流域治水プロジェクト」について、 福島県農林水産部農村計画課の帷子 直輝(かたびら なおき)さんにお話を伺いました。