安積疏水土地改良区の紹介について

【令和4年7月22日】
担当者:安積疏水土地改良区 総務課係長 遠藤 準也
司会者:rfcアナウンサー

司会者おはようございます。「農家の皆さんへ」の時間です。
今朝は、土地連だよりをお送りしましょう。お話は、水土里ネット安積疏水 総務課係長の遠藤準也さんです。
遠藤さん、おはようございます。

担当者おはようございます。

司会者今朝のお話は、安積疏水土地改良区についてご紹介いたします。
初めに、安積疏水土地改良区について、ご説明いただけますか。

担当者はい、郡山市、須賀川市、本宮市、猪苗代町にまたがる安積疏水の管内は、福島県の中央に位置し、東に阿武隈川、西には奥羽山脈に挟まれた南北32km、東西27kmの地域であります。受益面積は約9千haで、県内の水田の8.5%相当であります。

司会者続いて、安積疏水の歴史についてお話しいただけますか。

担当者はい。安積疏水は、明治政府の士族授産・殖産興業策の一つとして、明治15年、3年の歳月と40万7000円、現在の約400億円相当の国費を投じて130kmの水路が完成し、本年で140年を迎えます。国営農業水利事業第1号として着工し、当時の最新機械力、新技術が駆使され、この事業によってもたらされた猪苗代湖の水は、発電や飲料水をはじめとした多面的な利用により、郡山市は大きく発展しました。

司会者国営農業水利事業についてお話しいただけますか。

担当者はい。先程も申し上げましたが、明治12年着工、明治15年完成の猪苗代湖疏水事業からはじまり、昭和16年着工、昭和41年度完了の国営新安積開拓建設事業、昭和45年着工、昭和57年度完了の国営安積疏水農業水利事業、平成9年度着工、平成20年度完了の国営新安積農業水利事業、平成23年度着工、平成30年度完了の安積疏水二期国営造成土地改良施設整備事業で、国営事業を5回にわたり実施しております。

司会者国営事業を5回実施しているのですね。

担当者はい、国営事業で造成された主な農業水利施設は、十六橋水門、上戸頭首工、深田調整池、水力発電施設等であります。

司会者水力発電施設はいつから実施されているのですか。

担当者はい。安積疏水の従属で現在東京電力が管理をしている発電施設は、明治32年稼働で、水路の落差を利用した沼上発電所・大正8年の竹ノ内発電所・大正10年の丸守発電所に供用されております。沼上発電所は、当時としてきわめて難しかった長距離高圧送電をわが国で初めて成功しました。また、安積疏水土地改良区では、安積疏水管理用発電所が平成16年より運用を開始し、現在までおおきな故障もなく維持管理費軽減に貢献しております。

司会者安積疏水は、世界かんがい施設遺産に登録されたと聞きましたが、世界かんがい施設遺産とは、どのような内容なのでしょうか。

担当者はい、世界かんがい施設遺産は、かんがいの歴史・発展を明らかにし、かんがい施設の適切な保全に資するために、歴史的なかんがい施設を国際かんがい排水委員会が認定登録・表彰する制度で、2014年に創設されました。登録によって、かんがい施設の持続的な発展・保全方法の蓄積、および維持管理に関する意識向上に寄与することが期待されております。

司会者登録の基準などはあるのですか

担当者はい。登録となる基準としては、ダムを含む貯水施設、堰や水路などのかんがい施設で100年以上経過し、同委員会の定める10項目の基準を1つ以上満たすことが条件となっております。本土地改良区では、平成28年3月に申請し、平成28年11月に世界かんがい施設遺産に登録されました。また、同年には、歴史的価値や文化的価値が認められ、「一本の水路」として日本遺産にも認定されました。

司会者日本遺産にも認定されたのですね。日本遺産の認定、世界かんがい施設遺産の登録を受けて、どのような効果がありましたか。

担当者はい。現在世界かんがい施設遺産の登録は日本国内で、44カ所が登録されており、県内では安積疏水が初めての登録となりました。施設を管理する安積疏水土地改良区では、「日本遺産」認定、「世界かんがい施設遺産」登録以前より施設見学や広報活動を通して、安積疏水の施設は農業用水だけでなく、発電、水道水、防災防火訓練、水のある景観の形成、生態系の保全など、多面的に地域を支えているライフラインであり、地域の財産であることを、PRしてきました。登録以降は年間の施設見学者数が、登録前の2,000名程度から、3,000名以上とかなりの増加となりました。近年では新型コロナウイルス感染拡大の影響から、施設見学者は減少傾向であります。

司会者早く、新型コロナウイルス感染拡大が終息し、これまで同様に施設見学者が訪れると良いですね。

担当者通常の施設見学者は随時受け付けております。それ以外に、今年度は7月下旬に3年ぶりの「安積疏水を訪ねる小学生の集い」という親子参加の施設見学会を実施予定です。小学生などの夏休み期間を利用して、なかなか見られない田子沼分水工等の内部を見学してもらいます。

司会者ぜひ、安積疏水の歴史や貴重な施設見学を親子で参加していただいて、夏休みの思い出を作っていただきたいと思います。
今朝のお話しは、水土里ネット安積疏水 総務課係長の遠藤準也さんでした。ありがとうございました。

担当者ありがとうございました。