「そうま土地改良区の紹介」について

【令和5年1月27日】
担当者:そうま土地改良区 事務局長 遠藤 喜雄
司会者:rfcアナウンサー

司会者おはようございます。
「農家の皆さんへ」の時間です。
今朝は、土地連だよりをお送りします。
お話は、そうま土地改良区 事務局長の遠藤 喜雄さんです。
遠藤さん、おはようございます。

担当者おはようございます。本日は、よろしくお願いします。

司会者今朝のお話は、そうま土地改良区について、ご紹介いたします。
はじめに、そうま土地改良区について、ご説明をお願いします。

担当者はい。当土地改良区は、太平洋側に面した浜通り北部に位置する相馬市と新地町の1市1町を受益地とする、ほ場整備事業や農業施設の維持管理を主体とした土地改良区です。
受益面積は、2,700ha、組合員数は2,880名です。
当土地改良区は、平成16年4月1日に、かんがい排水事業施設の維持管理を主体とします相馬北部土地改良区と、ほ場整備事業の維持管理を主体とします相馬市土地改良区の、2つの土地改良区が新設合併しました。

司会者太平洋側と言いますと、12年前の東日本大震災の大津波を思い浮かびますが、農業施設への被害は、ありましたか。

担当者はい、平成23年3月11日の東日本大震災では、相馬市は震度6弱でした。午後3時50分頃に来襲した大津波は、海岸線から5kmの内陸部まで到達して、土地改良区受益地の約38%、1,100haの農地が、被災し作付け不能となりました。主な農業施設では、海岸線沿いにある排水機場や揚水機場が、大津波で全壊しました。
また、大地震の揺れにより農業施設の被災箇所も多数ありました。受益地内へ導水しているパイプラインの損傷や大型水路の損壊により、多数の漏水箇所が発生しました。

司会者被災された各農家の皆さんが、営業再開するまで、大変、ご苦労をされたと思いますが、被災された組合員の方々に、どの様な業務運営にあたられましたか。

担当者はい、土地改良区では、東日本大震災で農地が被災された組合員や土地改良区の施設が被災され農業用水が導水出来ない農地の組合員に対して、経常賦課金及び維持管理賦課金の免除、そして償還賦課金の繰延を営農再開するまで、実施しました。しかし、賦課金の免除により、土地改良区の予算収入が半分以下になったため、かなり厳しい緊縮財政運営に陥りました。

司会者令和3年、令和4年と立て続けに、福島県沖の地震がありましたが、農業施設は大丈夫でしたか。

担当者令和3年2月13日発生の地震と翌令和4年3月16日発生の地震も、福島県沖を震源とする地震で、相馬市では、どちらも震度6強でした。さいわい、津波は発生しませんでしたが、土地改良区の農業施設には、数十カ所の被災がありました。特に、令和4年の地震では、管口径1,000mmの鋼管から漏水が発生しました。
口径1,000mmの鋼管ですので、なかなか修繕部材が手配出来ず、4月後半からの水稲作付けに間に合うか、心配でしたが、国及び県そして関係市町のご尽力により、応急仮通水をしながら作付けすることができました。

司会者さきほど、緊縮財政運営を強いられたとお話しされましたが、どのような運営をされたのですか。

担当者はい。役職員一丸となって土地改良区運営の全てに節約しながら、緊縮財政運営に努めましたが、半分以下の賦課金収入では、到底不可能でした。ただ一つの救いは、財政調整資産の取り崩しで急場を凌ぎました。合併前の土地改良区の諸先輩の方々が、「二宮仕法」により、将来の不測の事態に対応すべく積み立てていただいたお陰で、逼迫状況を救っていただきました。

司会者「二宮仕法」とは、どのような仕法なんですか。

担当者はい。「二宮仕法」とは、江戸時代末期に活躍した二宮尊徳の教えです。小学校などの校庭に蒔きを背負って、本を読んでいる銅像があったと思います。あの銅像が二宮尊徳の少年時代の二宮金次郎です。相馬地方では、当時は中村藩ですが、天明・天保の大飢饉で、農村が疲弊し、藩財政が窮乏しました。そこで、農村を立て直し、藩財政を再建するため、二宮尊徳の教えに基づく「二宮仕法」を導入しました。
「二宮仕法」とは、至誠・勤労・分度・推譲を4本柱とします。至誠は、誠実であること。勤労は、心身を労して懸命に仕事に励むこと。分度とは、自分の経済的状況に応じた範囲内で、身の丈にあった生活をすること。推譲とは、将来へ向けた貯蓄をし、社会のために一部を譲ること。の教えです。
相馬地方は、この教えを、代々受け継がれて来ました。

司会者「二宮仕法」の教えがあったからこそ、そうま土地改良区の逼迫財政が救われたのですね。
最後に、そうま土地改良区の今後の取り組みをお聞かせ下さい。

担当者はい。土地改良区が維持管理しております農業施設には、造成されてから四十数年、経っている施設もありますので、機能保全計画策定事業等を組み入れながら、農業施設の長寿命化を図り維持管理してまいります。
また、土地改良区の重要性を理解して頂くためにも、小中学生への体験学習等を、実施してまいりたいと考えています。

司会者ぜひ、相馬地方の「二宮仕法」を子々孫々へとつないで行ってください。
今朝のお話しは、そうま土地改良区 事務局長の遠藤 喜雄さんでした。
遠藤さん、ありがとうございました。

担当者ありがとうございました。