農業水利施設の維持管理について

【令和5年5月24日】
担当者:福島県農林水産部 農地管理課 鈴木 浩巳
司会者:rfcアナウンサー

司会者農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「農業水利施設の維持管理」について、福島県 農林水産部 農地管理課の鈴木浩巳(すずきひろみ)さんにお話を伺います。
まず、「農業水利施設」とは、どのようなものかご説明をお願いします。

担当者皆さん、おはようございます。
それでは、農業水利施設についてご説明します。
農業水利施設というのは、田んぼや畑で使う農業用の水を供給したり、排水したりする施設です。
例えば、農業用の水を貯めておくダムやため池、川から水を取り入れるための堰やポンプ、田んぼに水を取り入れる用水路や田んぼ、畑からの水を川に流す排水路などがあります。
県内には、このような施設が約7,000箇所あり、田んぼや畑に農業用の水を安定に供給し、農産物の品質と収量を確保するうえで、とても大切な役割を果たしています。
また、農業以外にも防火用水や生活用水、降雪地帯では、雪を流すためにも活用されるなど、私たちの生活環境に密接に関わっています。

司会者それだけ多くの農業水利施設は、どのように維持管理されているのでしょうか?

担当者農業水利施設は、市町村や土地改良区が維持管理をしていますが、多くは地元の水利組合や集落、関係する農家の方が、草刈りや土砂上げ、水門の操作などの日常的な維持管理を行っています。
県では、農作業の準備が始まる4月を「施設管理強化月間」に位置づけて、管理者自身による農業水利施設の点検をお願いしています。
特に、ため池は、決壊した際の下流への影響が非常に大きいことから、梅雨時期を迎える前に、堤の斜面の崩落や、水の染み出しがないか、洪水吐に流木が引っ掛かっていないかなど、今一度点検をお願いいたします。
また、いつでも堤の状況を確認できるよう、定期的な草刈りもお願いいたします。

司会者ところで、ため池や水路での事故について報道されることがありますが、どのような状況で発生するのでしょうか?

担当者季節が暖かくなると、水辺で遊ぶ子供たちが増えるため、ため池で遊んでいて足を滑らせ深みにはまってしまう事故や、施設を管理する農家の方が見回りや点検の際に、ため池や水路に転落して尊い命を落とすといった痛ましい事故が、残念ながら毎年のように発生しています。
その原因は、子供の場合、危険な場所だという認識がないまま、釣りなどの遊びで、ため池や水路に近づいてしまうことが考えられます。
また、農業水利施設の見回り時の事故は、台風などの大雨や洪水の時に多く発生しており、普段より増水した現場で足を滑らせ水路に転落してしまうと考えられます。

司会者それらの事故を防ぐためには、どのような対策が必要ですか?

担当者まず、ため池や水路で遊んでいる子供たちを見かけたら、危険であるとの声をかけたり、学校や地域で大人が危険箇所を確認して、子供たちに教えて注意するといった、普段から地域ぐるみでの安全啓発活動が重要と考えます。
次に、農業水利施設の点検や見回りは、大雨洪水時には決して行わないことです。
どうしても必要な場合には、決して一人では行かないでください。
必ず複数人で行うようにしてください。
できる限り、ライフジャケットやヘルメットなどの安全具の着用をお願いします。

司会者それでは、農業水利施設の管理者の皆さんが、事故を未然に防ぐためにはどのようなことをすればよいのでしょうか?

担当者注意喚起の立看板の設置や、地域の広報紙により危険箇所をお知らせしたり、侵入防止あるいは転落防止用の柵を設置することも有効な手段だと思います。
また、万が一の事故に備えて、落ちてもはい上がることができるロープなどの設置も有効と思います。加えて、保険に加入するなどの対応もお願いします。
農業水利施設を利用するための維持管理に加え、事故防止のために地域や関係機関と連携して安全面の管理を徹底するようお願いします。

司会者安全管理に向けた柵の設置などについては、多額の費用がかかる場合があり、簡単には出来ないと思いますが、どのような対策がありますか?

担当者学校の通学路や避難経路に隣接した農業用水路などでは、国の補助事業を活用して、転落防止柵の設置や水路の蓋掛けなどの安全対策を実施することができるケースもありますので、市町村や土地改良区、お近くの県の農林事務所農村整備部にお問い合わせいただければと思います。

司会者ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、「農業水利施設の維持管理」について、福島県 農林水産部 農地管理課の鈴木浩巳(すずきひろみ)さんにお話を伺いました。