土地改良施設の資産評価データ整備事業について

【令和2年1月30日ラジオ放送】

担当者:福島県土地改良事業団体連合会 施設管理課 課長 冨田 秀樹
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。今朝の土地連だよりは、「土地改良施設の資産評価データ整備事業について」お話しをうかがいたいと思います。お話しは水土里ネット福島 施設管理課 冨田秀樹さんにおうかがいします。
はじめに、土地改良施設の資産評価の目的・内容についてお話しいただけますか。

担当者

はい。平成30年6月8日に公布された土地改良法の一部を改正する法律において、土地改良施設を管理する全ての土地改良区は、原則として、貸借対照表の作成・公表を行うこととされたところです。
貸借対照表を作成することにより、土地改良区が管理する施設について、いくらで建設され、これまでに、どの程度の価値が目減りしていて、現在はどの程度の価値があるかといった情報を定量的に把握することが可能となります。このような資産に係る情報を整理し、価値を決めることを資産評価といいます。
資産評価の結果については、台帳に整理され、期末残高が貸借対照表に転記されるとともに、減価償却の方法や取得価額、減価償却累計額、土地改良区の負担額等の関連する情報については、財務諸表に対する注記によって示されることとなります。

司会者

資産評価の基本的な考え方と流れについて、お話ください。

担当者

はい。土地改良施設の資産価値は、施設そのものの価値を把握するために、事業費総額を、将来の更新費用負担額算出の参考とするために、事業費のうち土地改良区負担額をそれぞれ算出します。
また、 期末残高は、取得価額から減価償却累計額を差し引いて算出し、減価償却累計額は、取得価額に耐用年数に占める経過年数の割合を乗じて算出します。
経過年数が耐用年数を超過した土地改良施設の期末残高は、備忘価額1円とします。
以上から算出された 取得価額・減価償却累計額・期末残高を土地改良施設台帳に整理することが必要であり、資産評価は土地改良施設台帳の作成に併せて実施することとなります。

司会者資産評価の対象となる施設は、どういったものになりますか。

担当者

はい。資産評価の対象施設は、土地改良区において所有または管理している施設となります。司会者資産評価の単位について教えてください。

担当者

はい。揚水機・頭首工などの点的施設であれば施設ごと、水路などの線施設であれば路線ごとに評価することを原則とします。なお、 線施設については、末端水路等の路線が短く、いくつかの路線をまとめて施設管理を行う場合は、それらをまとめて1単位とすることが可能です。同様に、区画整理と一体的に整備した水路、道路等についても、施設の管理を地区単位で行う場合は、それらをまとめて1単位とすることが可能です。

司会者

それでは、資産評価の具体的な方法について教えてください。

担当者

はい。はじめに取得価額の算出です。取得価額は、根拠資料により施設の造成費用が明らかになっている場合は実績による方法を、根拠資料が存在しないなど、施設の造成費用が不明な場合には推定による方法を用いて計算します。
実績による方法としては、取得価額は、施設の造成に要した工事費にその他諸費等を加えたものとします。ただし、用地に係る経費、農家負担対象外経費については、その他諸費に含みません。
推定による方法としては、評価時点における再調達価格を支出済費用換算係数で割り戻すことにより、造成年度における取得価額を推計します。なお 再調達価格は、標準単価に数量を乗じることにより算定します。
次に、減価償却累計額の算出です。減価償却の方法は、取得価額を耐用年数で除して算定する定額法を採用します。減価償却累計額は、取得価額に耐用年数に占める経過年数の割合を乗じて算出します。
最後に、取得価額から減価償却累計額を差し引き、期末残高を算出します。

司会者

算出された資産評価は、どういった方法で整理し、活用なされますか。

担当者

はい。算出された資産評価の内容は、土地改良施設台帳に整理され、施設の現場における適正な管理と共に、資産としてその価値を評価し、台帳で管理します。
土地改良施設台帳の整備により、貸借対照表のデータの正確生を担保し、現役世代と将来世代の負担を適正に調整するための、客観的な資産評価データを得ることが可能となります。

司会者お話をいただいた資産評価・土地改良施設台帳の整備については、どういったスケジュールで行いますか。

担当者はい。本会では、国の事業を活用し、現在土地改良区が管理している施設について、施設造成主体と連携して資産評価を実施し、その結果を土地改良区に提供します。なお、本事業は、令和2年度までの事業年度で、令和元年度40改良区 令和2年度46改良区のデータを整備する予定です。

司会者今朝は、ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、「土地改良施設の資産評価データ整備事業」についてお話しを伺いました。