福島県土地改良区運営基盤強化方針について

【令和元年12月29日ラジオ放送】

担当者:福島県土地改良事業団体連合会 総務企画部 次長 谷 孝樹
司会者:RFCアナウンサー

司会者

農家の皆さん、おはようございます。
今朝の土地連だよりは、「福島県土地改良区運営基盤強化方針について」お話しをうかがいたいと思います。お話しは水土里ネット福島 総務企画部 谷 孝樹さんにおうかがいします。
はじめに、県内の土地改良区の状況についてお話しいただけますか。

担当者

はい。本県は、広大な県土と変化に富んだ気候・風土に恵まれ、全国有数の農業生産県として多彩な農産物を供給しています。
また、農地や農業用施設の適切な維持管理により、良好な農村環境の保全や水資源のかん養を始め、食料の供給以外でも多面的機能を発揮するなど、本県の農業・農村は重要な機能を果たしています。
このような中、地域の農業者により組織される土地改良区は、それぞれの地域で農業・農村を支える要の組織として、農業生産の基盤である農地や農業用施設の整備、それによって造成された施設の維持管理等を行ってまいりました。
しかしながら、近年の農業・農村を取り巻く情勢は、大幅な米価の下落、高齢化と後継者不足による農業者の急激な減少など大きな変革期を迎えており、更には農業者の高齢化と減少による施設管理機能の低下、更新時期を迎える施設への対応など、土地改良区に求められる役割はますます重要となってきています。

司会者

そうすると、土地改良区の運営に対してどういった支援が考えられますか。

担当者

はい。本県では、土地改良区の組織運営基盤の強化を図ることを目的として、平成6年3月の第一次以降、平成30年3月の第四次まで「福島県土地改良区統合整備基本計画」を策定し、土地改良区の統合整備を進めてまいりました。

司会者第四次まで勧められた基本計画の評価と課題については、いかがですか。

担当者

はい。平成6年3月の第一次基本計画策定後、各土地改良区の自主的な取組み、県や本会による指導・啓発などにより統合整備が進められてきたことから、平成5年度末に145地区であった土地改良区は、平成30年度末までに89地区となり、特に小規模土地改良区や重複した地区を有する土地改良区の解消が図られ、統合整備の目的である土地改良区の組織運営基盤の強化に関して一定の成果を得ることができました。
しかしながら、平成30年度末においては、解散については実績があったものの、土地改良区が自らの問題として統合整備に向かうまでには至りませんでした。
また、現存する土地改良区の4割超が重複地区を有するほか、約1/3が500ha未満の小規模土地改良区として残されている状況にあります。司会者これらの評価・課題を踏まえたこれからの土地改良区への支援策についての基本方針をお話ください。

担当者

はい。土地改良区がこれから求められる使命・役割を果たしていくためには、 農業者の負担軽減を図りつつ制度に基づく適正で安定した組織運営基盤を確保した上で、 地域農業者の負託に応えることのできる適切な施設の維持管理体制を整えていくことが必要になります。今回、土地改良区を構成する「財政面」「事業面」「組織面」の3つの要素に分けて、今後の土地改良区のあり方について整理しました。
財政面としては、法制度に基づいた適正な賦課・徴収をしていくほか、未収賦課金の解消、新たな組合員の確保に努めるとともに、事務事業の見直しによる支出削減、施設の予防保全対策等を実施するための貸借対照表を活用した計画的な資金の積立、 統合整備による財政基盤の確立及び多面的機能に係る受益者にも応分の負担を求めていくなど必要な財源を自主的に確保することが重要です。
事業面としては、地域のニーズに応えて施設の多面的な機能を十分に発揮するために、日常の適切な施設の操作・点検及び適時の更新事業が求められるため、 維持管理計画を変更・策定し、その計画に基づく適正な日常管理を行い、定期点検・ 機能診断に基づいた予防保全更新計画を策定する必要があります。
組織面としては、土地改良区の存在意義を再認識し、当事者意識を持った役職員の更なる資質向上、業務遂行能力を備えた職員の適正配置、 組合員である地域の農業者が参画する総会または、総代会の意思決定及び一定の事務局機能を整えつつ合理的かつ適正規模への組織の見直しなどが考えられます。
これらをふまえた基本方針は、次の通りとなります。
一つ目は、運営基盤の強化についてです。具体的には、複式簿記の導入・計画的な施設更新・維持の指導・未収金の解消の指導・中長期計画作成・統合整備の推進・土地改良事業の計画的な推進です。
二つ目は、農村社会の維持に関する土地改良区の役割の推進です。具体的には、地域社会との連携・人材の育成です。
三つ目は、土地改良法改正に対する対応です。具体的には、貸借対照表作成の指導・総代選挙規程の制定等の指導・土地改良区の役員改選時期に応じた法定要件をみたす指導・利水調整規程の策定における指導です。

司会者

基本方針を踏まえた運営基盤強化についてお話ください。

担当者

はい。運営基盤が維持できる事務局体制、例として、不祥事未然防止のための内部牽制機能、複式簿記会計の対応、世代交代による円滑な事務継承等の整備を図るため、土地改良区の職員は2人以上となるような統合整備を目指します。また、土地改良区の運営基盤が維持できる規模として、職員体制は2人以上、及び補助事業制度の活用等から、面積は概ね500ha 以上となる統合整備を目指します。

司会者

統合整備の方針はいかがですか。

担当者

はい。統合整備の対象を、運営基盤強化のための目安 500ha未満、職員2人未満に該当する土地改良区と、アンケート調査結果から解散の意向がある土地改良区とし、第5次計画期間令和5年度においては、500ha未満、職員2人未満の双方に該当する土地改良区数と解散の意向をもつ土地改良区数を基本にして、20土地改良区の統合整備を重点的に進めるものとします。

司会者最後に、運営基盤強化に向けた推進体制についてお話ください。

担当者はい。土地改良区の統合整備を推進するとともに、運営基盤の強化を図るため、本指導方針の推進に係る委員会を設けます。また、 毎年度の活動計画を定めるとともに、進行管理を行い、必要に応じて計画の見直しを行ないながら、土地改良区の運営基盤の強化を推進していきます。

司会者今朝は、ありがとうございました。
今朝の土地連だよりは、「福島県土地改良区運営基盤強化方針について」お話しを伺いました。